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名建築の「解体」「保存」「再生」を探る

1934年~2007年を生きた建築家・黒川紀章氏は、世界的な建築家として有名ですが
代表作と言われる建物のひとつに、東京・銀座の一隅にある「中銀カプセルタワービル」があります。

ブロックを積み上げたような外見が特徴で
日本の高度経済成長期に建てられた建物と同様に
老朽化がすすみ、解体される日が近づいています。

建物は、13回建てと11階建てのツインタワーとなっており
140戸のカプセルがエレベーター室のまわりに貼り付いたような構造。
カプセルのひとつが約10㎡の居室となっています。
「カプセルを入れ替えることで、建物は永遠の命を保つ」という
黒川氏の「メタボリズム思想」を体現した建造物です。

完成当時の姿に最も近い部屋に入ると
ソニー製のカラーテレビや、オープンリールのテープレコーダが壁に作り付けてあり
レンズのような丸い窓越しに、街を見下ろすことができます。
防音性も良く、外のノイズは入ってきません。
本来は分譲マンションでしたが、キッチンはなくビジネスホテルの部屋に近いものです。

完成から約半世紀。
カプセルの交換は、一度も実現しておらず
部屋には、トイレ付きの小さなユニットバスがあるものの
ビルの給湯管は壊れたままで、8年前からお湯は出ない状態。

しかし、この建物に見せられた人が多く居住しているといいます。
居室として使うほか、事務所を構える人、趣味を楽しむ人など、活用法は幅広く
この建物を守ろうというプロジェクトが結成されるまでに。

しかし、最後の大規模修繕は35年前のこと。
ビルの傷みははげしく、外壁の落下を防ぐネットで覆われ
耐震基準も満たされていないため、建て替え計画者に売却されることが決まり
2022年3月に解体工事が開始される予定なのだそうです。
解体後のカプセルは、商業施設や祝蓮施設を中心に、
複数企業との打ち合わせが始まっているとか。

都心にあって異彩を放つ、築50年ながら近未来感にあふれた名建築。
保存や活用の方法を探りながらも、解体される運びとなりましたが
黒川氏の思想や、建物の魅力は、これからも後世に伝えられていくのかもしれません。


株式会社大海は大阪、兵庫県を中心に住宅、店舗、マンションなどの解体工事を行っております。
創業47年以上の実績と経験で現在も多くの仕事のご依頼を頂いております。

建物の老朽化がすすむ近年、仕事量は安定的にあります。
つきましては、共に働いてくれるスタッフを募集致します。
若い方の育成に力を注ぎ、地域活性に貢献できる会社作りを目指して行きたいと考えております。

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2021.09.20

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